Tコーポ

 上原3丁目から2丁目に引越しをして、今月からは2丁目の新しいアパートにお世話になっています。3丁目の「Tコーポ」は僕の1人暮らし歴において最も長く住んだアパートで(4年も住んでいたのだ)それだけに思い入れがある。


 最初はここの1階に住みはじめて、ここにはお風呂もなく(当然お湯も出ない)、まだ電子レンジも洗濯機も生活に必要な機器は何もなかったから不便といえば不便だったのかもしれないけど、そんな事よりも好きな街で自分だけの部屋をもてることがうれしく、不満はなかった。冬の寒い日、銭湯で洗濯している間に風呂であたまって、すかさず家に戻って布団をかぶって寝たのもよい思い出だ。早朝、冷水で顔を洗うのもシャキッとして気持ちが良かった。でも、今この生活に戻れるかといわれるとなかなか戻る気にならないから不思議だ。

 ほどなくして、大家さんのご配慮で2階のお風呂つきのいい部屋に移り住むことになった。冷蔵庫を新しく買い、電子レンジと洗濯機をもらった。日当たりはよく部屋には文句のつけようもなかった。いつのまにか僕は自分の意志とは関係なく、経済的な不安は抱えつつも「そこそこの暮らし」をするようになっていた。恵まれた身分と言わざるを得ない。

 人間は1年で肉体の全部の細胞が入れ替わると聞いた事がある。つまり僕は「Tコーポ」で4回も新しい人間に生まれ変わったことになる。新しいことにどんどんチャレンジしたいと思う。ありがとう「Tコーポ」