彼岸中日
日中、大分日が長くなり春めいてきた。
今日は春分の日ということで、世間では祝日となっているが、僕はしぶしぶ朝から仕事に出かける。
春分の日といえば、家でよく墓参りに行った。幼い僕は「なんだよ、また墓参りかよ」なんて反抗せず黙って親に連れられて新宿矢来町の寺まで行く。ご先祖様の墓前に手を合わせて「こんにちは、僕はがんばってます。」と話しかけてみる。墓の中に眠っている方たちは確か3つ前の世代から、つまり曽祖父母と祖父母の4人で生前お会いしたことがあるのは祖母だけ、それも面影を薄っすら記憶している程度である。
住職さんは「坊や、お参りかい。えらいね」と褒めるので言われるままにしていたが、真実を打ち明けると、お参りに付いていけば帰りに父母が神楽坂で漫画の本を買ってくれたり、あんみつやケーキをご馳走してくれるので、それが目的だったのだ。もう少し大きくなると鰻屋や蕎麦屋に入ったり、学校で必要なものを新宿のデパートで買ってもらったこともあった。郊外に住んでいたので墓参りを口実に都心に出て遊んだのだ。
だから矢来に眠るご先祖さまは「けしからん、なんて不謹慎な子孫だ。」とお怒りかもしれない。しかし、言い訳するわけではありませんが、順番は必ずお参りが先で、お参りそっちのけで食い物屋に行ったり、遊びに行ったりしたことはないのです。
近頃忙しく、ご無沙汰しているが、また矢来に行こう。
たまたまそんなことを思い出した彼岸の中日である。
◇追記
花も見頃のの4月8日。
ようやくお墓参り行ってきました。よよはたから矢来町は距離は近いけど足がなくて。
今回は原宿駅から早稲田行きの早81バスで行って来ました。車窓から見る荒木町界隈もなかなか乙なもんです。帰りに神楽坂の回転寿司でお昼を食べて、心身ともに満足の1日でした。