映画 華麗なるギャツビー

 絶賛上映中の映画「華麗なるギャツビー
原作は言わずと知れた米文学の金字塔「The Great Gatsby 」だ。
出版は1925年なのでおよそ1世紀前。こうゆうのって、やっぱり90年も経過すると現代の人にはなかなか伝わりにくくなるのでどうしても洗い直しが必要になってくる。古典落語なんかもそうだけど、聞き手であるお客さんは江戸時代の登場人物に現代人である自己を投影させる。だから噺家はお客さんを江戸の昔に誘いながらも現代に繋がるラインを一本通しておかなくてはならない。その加減が古典落語をはじめとしたクラシック作品表現のポイントだと僕は思う。

 そこで今回の「華麗なるギャツビー」を見たとき、おおっそうきたかと膝を叩いた。
1920年代のニューヨークを体感しながも2013年の感受性で醍醐味をなかなかうまくキャッチできるようになっている。ポイントはズバリ映像と音楽の斬新さだろう。最初は3Dというものに疑問を持っていた。SFじゃあるまいし、なんで文芸作品で3Dなんだよって思うでしょ。ところが見たらたまげてしまった。女優が身につける絢爛豪華な衣装のその美しい装飾の一つ一つがきらきら浮き上がって見えるではないか。ギャツビー邸で繰り広げられる例のドンチャン騒ぎ(上空からラジコン飛行機で撮影か?)も屋敷の奥行き感やプールやシャンパンのしぶきまで鮮明に美しくこちらに降り注いでくる。こんなばかばかしいことに大マジメに3Dを駆使しているところがこの映画の凄さだ。
こうなってくるとストーリーや文学性なんてどうでもよくなり、更にはこれは映画と言えるのかどうかすら怪しくなってくる。でも難しいことなんて考えずに映像に身を任せなければ損なのだ。

とっても楽しい3Dだけと最大の欠点は字幕が邪魔なことだ。もう予習してあるので東京に一つくらい字幕なしオリジナル英語版ギャッツビーが見られる映画館があったらいいなあと思う。