黒豆を煮る


毎年恒例の黒豆を煮ている。たとえ一年間不真面目に生きてきたとしてもこれだけは真面目にやりたい。だだの一品料理と侮ることなかれ。元旦においしく食べられるようちゃんと豆を煮るには買い出しを含めると3〜4日くらい前から準備しなくてはならない。黒々とふっくらで味も旨いものをつくるのはとても難しく、たいてい売っているのは(高級料亭の仕出しさえも)見た目は綺麗だが味は甘ったるいだけのものが多い。そして、各家庭によって実にさまざまな煮方があるのも特徴だ。最近では最初から砂糖水に一晩浸す人もいるそうだ。まあとにかく、これはアマチュア料理人にとって年の暮れから新年へとつながる重要な料理でプライドがかかっている。

 12月28日

仕事場の近くの築地場外市場の塩田商店にて黒豆300グラムを購入。帰宅後1リットルほどの水に浸す

 12月29日


24時間水に浸した豆を鍋にふたをせずそのまま弱火でふつふつ煮る。沸騰させるほど強く煮ると黒豆が破れてしまいそうなのでここは弱火で。ほどなくしてあくが浮いてくるが「あくも味のうち」なのであく抜きしない。よく料理の本などで、ここで2時間煮続けるなどあるけど大事なのは時間ではなくてとにかく柔らかくなるまで煮ることだと思う。この段階で理想の柔らかさにしておかなくてないけない。なぜならば、次の行程が最大のポイントなのだが200グラムもの砂糖を一気に投入すると豆がキュッと締まってそれ以上はいくら煮続けても決して柔らかくならないからだ。砂糖投入後そのまま10分位煮続けながら塩と醤油少々を味をみながら加えて一応完成とする。あえて一応と書いたのは蓋をしてそのまま3日寝かせないと味がしみないからで、ちょうど元旦においしく食べられることを計算に入れているからだ。

えらそうに作り方まで語ってしまったが、実は僕も毎年手探りでつくっている。黒豆は奥が深いので、これでいいという確信がもてないのが本当のところだ。

 12月30日

味見をしてみる。やはり僕は固めが好みなのか、固過ぎに仕上げてしまう傾向があるようだ。