デモの帰り

この日の夕刻、東京都心部の上空でヘリコプターのプロペラの音がひっきりなしに響いていた。
twitterで知ったのだけど首相官邸前で大飯原発再稼働反対の大規模なデモが行われるというのだ。
それならば、僕のような人間でも数の足しになればいいと思い仕事帰りに首相官邸に向かった。

はっきり言って現段階では「こんなに多くの人が原発に反対しているんですよ」という図を世界に見せつけるしか打つ手はない気がしている。僕も大声を張り上げて反対運動をしたりするのは嫌だけど、その場に行かないと原発反対としてカウントしてもらえないので仕方ない。報道によっては20万人集まったそうだ。日本では今までにないことだというが、それでも一億数千万のうちのごく一部の人たちが吠えているくらいにしか見られていなのだろう。
遠方の人や仕事の都合なんかで参加できない人もいると思うが、こどもたちの生命にもかかわる重要な決定を一部の人間の利益のために密室で決められることに我慢できない人はできるだけ参加してほしいと思う

 デモの帰り、首相官邸のすぐ裏手にある赤坂の街を通って帰宅した。普通に会社帰りの人たちや友達同士で酒場で楽しく飲んでいる人たちが大勢いて日常の街の風景がそこにあった。もちろん、その人たちを悪く言うわけではないですよ。僕だって仲間と飲むのは好きだし人生は面白おかしくありたいと思う。でも、今さっきまで首相官邸で激しい光景を目の当たりにしてきたばっかりだったので虚しさを感じてしまった。

 この国では真に民衆が進路を舵取りをすることはできず搾取され続ける。そのかわりそこそこの(全世界の平均から見たらとてもハイレベルな)富とゆとりを与えられ、それがなんだかとても平和で幸せなかんじがしてしまうのだ。本当に戦うべき相手は野田や勝俣なんかじゃなくてそうした巧妙に仕組まれた洗脳なのかもしれない。