駆け込み退職の自由

 教員の「駆け込み退職は」モラルに反するのか。

 詳しい経緯に明るくないので、ザックリ説明すると、2月から地方公務員の退職金に関する法律が改正されるそうだ。そのため、学校の先生が最後(3月)まで働かずに新しい法律が施行される前に退職した方が100万円から150万円くらい退職金が多くもらえるという珍現象が発生し、早期退職を志願する教員が全国に波及している。「教師のモラルはどこへいったのか」などと問題視もされている。


 そもそも、こんな悪いタイミングで法改正に踏み切るお上に問題があるのだが、お上に文句を言ってもしょうがないというのが僕の基本理念なので、諦めよう。ここでは、もし自分がこの立場だったら果たしてどうするだろうと考えてみる。

 (あくまで実際にその立場に置かれなければ言えないことであるが)僕だったら、長年教師をやってきたなら、今までやってきた仕事を中途半端に残してやめるのはどうも気持ちが悪いので、最後までやると思う。でもそれは、公務員の矜持とか責任感とかとはちょっと違う。これはモラルの問題というよりも、最後までやるか途中でやめるかで、いかなる心持が残るかという個人の性格の問題だ。早期退職にはためらいがあるけど、手当を多くもらった方がなんだかんだいって気分がいいという人に対しては、その自由を尊重してもいいんじゃないかと僕は(一納税者として)思う。

 一方で「金で生徒を見捨てるのか」とか「聖職者が」とか言う人がいるが、その類いの歪んだ見方がどれほど教師を苦しめてきたことか想像してもらいたい。教師だって普通の人間だし、老後に不安も抱えている。100万円という金額はスルーするには余りにも大きい。
 でも、願わくは早期退職希望の先生は学校を去る前に自分の考え方や奇麗ごとじゃない本音を生徒の前で発言するといいのでは。もしやそうゆうことが後々生徒たちにとって有益な「教え」となって残るかもしれない。

 教職員を含め退職される公務員には感謝の気持ちとお疲れさまでしたという言葉で送り出したい。