なんでもない原っぱ

明治神宮内苑の西参道の鳥居のそば、広大な代々木の森エリアの北方に雑草が生い茂る空き地がある。
僕はここを「なんでもない原っぱ」と勝手に呼んでいる。

週末の早朝「なんでもない原っぱ」に行ってみよう。
見回すと、一人太極拳をやっているおじさん、瞑想しているお兄さん、僕の3人だけだ。
ここは世界指折りの大都市メガロポリス東京の真っ只中。


僕は芝生の上に寝転び一人でごろごろ転がって遊んだ。そのままうつ伏せになり、焦点を真下に持ってくると、草むらの中には名もない小さな虫たちの生活があった。雑草もよく見ると紫色の花のようなものがついていて、それが原っぱ全体を支配している。雑草とはいえ、何か名前があるのだろう。

程なくして視線を少し上にずらして水平線をボーっと眺めてみれば、低空飛行を繰り広げる小さな虫たちの姿が金粉をばら撒いたみたいにきらきら反射していた。
さらに視線を上に移動させると、無音の青い空に白い雲がただ流れているだけだった。