ハドソン川の奇跡

ちょっと前に人工知能が囲碁や将棋の世界チャンピオンを倒したり、外科手術の分野にもこれが応用されるなど話題となった。今あるほとんどの職業もやがて人工知能に奪われてしまうだろうとも言われている。もしや僕の憧れの職業「すし職人」も名人の技術を学…

お盆

東京都心がまるで昔にタイプスリップしたかのように静まり返り、ところどころで蝉が最後の力を振り絞って鳴いている。近所の食事処に入ると、老夫婦と久しく会ってない息子夫婦がビールを酌み交わし、かたわらでは日焼けした孫たちがはしゃいでいる。「お食…

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

自由を標榜する国・アメリカでも1950〜1970年代の米ソ冷戦の時代において共産主義者を弾圧しようとする動き、いわゆる「赤狩り」が猛威をふるったそうだ。最近観た映画「トランボ ハリウッドで最も嫌われた男」に詳しく描かれている。 ダルトン・トランボと…

ブルックリン

「碧い瞳の外人さん」。外国人を初めて見た日本人はそのブルーの瞳に驚嘆し、以来この表現は外国人を形容する常套句のようになった。ところが、一口に外国人と言っても千差万別、今では外国人自体が取り立てて珍しくもないからか、今時こんな言い方も古いの…

二郎は鮨の夢を見る

これははっきり覚えている。生まれて初めて知った職業は「鮨屋」だ。 母方の家が鮨屋を営んでいたためで、とても身近な商売だった。思うに、子供が初めて知った職業が何であるのかは、その後の人生に何らかの影響があるのではないか。 僕の場合は何かにつけ…

安西水丸 展

何かと家にこもりがちな梅雨時である。 思い切って東京駅から新幹線こだまに飛び乗り、京都伊勢丹で開催中の「安西水丸展」へ出かけた。 僕は安西水丸さん大ファンなので、これまでにもたくさん水丸さんの絵を見てきたつもりだったのだが、今展ではまだ見た…

レヴェナント:蘇りし者

米アカデミー賞2016年の本丸ともいえる作品「レヴェナント:蘇りし者」を観た。 この作品はレオナルド・ディカプリオがアカデミー主演男優賞を受賞したこともあり、その凄まじい演技が話題となっている。でもディカプリオさん、持ち前のキャラクターがそ…

サイ・トゥオンブリーの写真−変奏のリリシズム−

まれに、この絵は子どもの落書きなんじゃないかと言われるような美術があるが、こうゆうタイプの作品の良さを人に説明するのは難しい。 そもそも説明すればするほど本質が逃げてしまうような気もする。僕たちの日常生活には、技術が優れていたり、役に立った…

四十を過ぎたら

「四十を過ぎたら人は自分の顔に責任を持たねばならない」これは第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが、閣僚を登用する際にその人物の顔つきで判断したというエピソードに由来する言葉。なるほど一理ある。四十年も生きていれば、その人の…

ROOM

「テレビの中の人は本物?」 「みんなって誰のこと?」 "部屋"しか世界を知らなこどもの言葉の一つ一つの重みが凄い。 映画「ROOM」は、1人の少女が"部屋"に拉致監禁されて7年目、そこで妊娠出産をして生まれた男の子ジャックが5歳の誕生日を迎えるところ…

リナ・ボ・バルディ

  映画や写真集なんかを見て、ああこんな家に憧れるなとか、こんな部屋がいいななんて夢をふくらませることはないだろうか。 僕はよくある。 例えば、昨年乃木坂のギャラリーで見たTYINというグループの手掛ける住宅は木の使い方等がすごくかっこ良くて、…

リリーのすべて

その乗り物は機能性の観点で2種類に分類できる。男と女だ。 でも乗り物の操縦士には様々なタイプがあるような気がしている。 男の乗り物には男性性が強いタイプが、女の乗り物には女性性が強いタイプが乗りこなしていることが多い。 たまに女性性の強い操縦…

マネー・ショート

経済オンチ、マネーゲームにもとんと縁がない僕だが、お金って何だろうって考えることが結構好きだ。 人生の初期の頃、お金とは労働の対価として得られるご褒美のようなものだと教わったような気がする。 一生懸命働けば、お金を貰えてそれで好きなモノが買…

崩壊

大きな体躯に少年らしい笑顔があった。こどもの頃から清原を応援していたので、覚醒剤事件を耳にするなりとてもがっかりしてしまった。 原因が本人自身にあるのはもちろんだが、今まで生きてきた道のりを振り返ると、どこかの時点で自らのコントロールに失敗…

好き嫌い

その昔、母がよく「栄養があるから食べなさい」と言って鍋ものの牡蠣を僕の器によそってくるのが嫌で仕方がなかった。 食べないと叱られるので、我慢して水と一緒に流し込んだり、後から白菜や肉で追いかけて口の中を誤魔化したりするんだけど。あの匂いと食…

アカデミー賞

いよいよアカデミー賞ノミネート作品が発表された。 僕の好きなアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督も同監督作品の「レヴェナント」も当然入っている。 前回「バードマン」でアカデミー作品・監督賞の栄冠を勝ち取ったイニャリトゥは、今年も受賞が…

2016年

年明け早々、芸能ニュースが話題豊富だ。 中でもSMAP事件は今年ナンバーワンの芸能ニュース確定だろう。 このお家騒動ならびにフジテレビの謝罪中継を他人事だと思って見物させてもらった。 あの生中継を見て、解散しなくてよかった、安心したなんて言ってい…

韮崎大村美術館に行ってきました

山梨が生んだ偉人、ノーベル生理学・医学賞受賞者・大村智さんが、鈴木信太郎の画がお好きでコレクションしていると元旦の山日(山梨日日新聞)の記事で読んだ。意外な組み合わに驚くとともに、なんだか急に鈴木信太郎が見たくなってきた。うち(小淵沢)か…

寿2016

みなさま 新年おめでとうございます。 昨年暮れは気の緩みから風邪を引いてしまいまして、やや体調不良の年明けとなりました。 こんなんじゃダメだと自分を奮い起こし、元旦0時に代々木八幡に詣で、まず第一に今年一年の健康をお祈りしてまいりました。 お…

エンブレム問題について

東京五輪エンブレム問題で世間が騒がしい。 僕もグラフィックデザイン・ファンとして黙っていられないものがある。 まずあのエンブレムに関しては、パクリではないと思っている。 少なくとも、ベルギーの劇場のパクリではないだろう。 ではオリジナルなのか…

命日

昭和40年代中頃、デビュー曲「新宿の女」で彗星のごとく歌謡界に登場した藤圭子さん。立て続けにヒット曲を出して一躍時代の寵児となった。ところが昭和50年代始め頃には突然表舞台から姿を消している。僕が生まれたのが昭和51年、その3年前に僕の姉…

ブレイキング・バッド

米ドラマ「ブレイキング・バッド」を動画配信サービスのHULUで見た。全5シーズン62話を3週間弱で一気に視聴してしまった。べらぼうに面白いのだ。 最初にシーズン1を通しで視聴した直後、それなりに面白いドラマだと感じたが、この程度の内容でシー…

なんでもない原っぱ

明治神宮内苑の西参道の鳥居のそば、広大な代々木の森エリアの北方に雑草が生い茂る空き地がある。 僕はここを「なんでもない原っぱ」と勝手に呼んでいる。週末の早朝「なんでもない原っぱ」に行ってみよう。 見回すと、一人太極拳をやっているおじさん、瞑…

「よかよか」の博多うどん

僕はうどんが好きで一人でいろいろな店の味を品評しているんだけど。 有楽町交通会館にある「よかよか」のうどんは本当に美味しいです。 好きな店を紹介すと、何だか文化人気取りみたいできまり悪いのだが、 ここは、誰でも入れるようなコスパ良好のいたって…

「長崎教会めぐり」

イラストレーターの山下アキさんが自身の個展開催に合わせて「長崎教会めぐり」という本をつくりました。(展示は3月11日の17時までatHBGallery) 編集はかがわなみこさん、それから装幀(ブックデザイン)は何と、わたくし太田が担当しております。 子…

歯科医師について

前々回、歯科医院に通院している話をした。 今回もそこで感じたことを書いてみたい。 昔は歯医者といえば痛くされるのが当たり前で嫌だったけど、最近の歯医者は本当に痛くなくなって驚いている。それどころか、日夜研究して新しい技術を工夫している成果に…

台所で薬缶がピーッ!と音を立てて鳴いている。 湯が沸いた合図だ。 コーヒーでも淹れようと薬缶をコンロから外すと、なんとゴトクの上で愛用の財布が燃えているではないか…。 びっくりしてベッドから跳ね起きた。 あまりにリアルな夢だったので引き出しにし…

人生の目標と投資について

こどもの頃、母から「いまのうちに勉強しとかないと大人になって困るよ」とよく言われたものだ。しかし僕がもしあの頃にタイムスリップして子供時代の自分に一言だけ忠告してやれるとしたら、「毎日しっかり歯磨きしろよ。大人になって困るぜ」と是非とも言…

寿2015

みなさま 明けましておめでとうございます。 今年もみなさまにとってよい年になりますようお祈り申し上げます。 今年の正月は東京の家を離れ、小淵沢で父母と「紅白」を見ながら年越しをしました。 大晦日には甲府のおばあちゃんにも会い、相変わらずの元気…

サッカーW杯雑感(27日現在)

27日現在、サッカーW杯の決勝トーナメントが出揃った。 残念ながら、我が日本は予選で敗退してしまったのだが、敗因は何だったのかその総括が行われているところだ。よく言われるのは、ゴール前での決定力がない、当日までにコンディションを最高にできなか…